人は誰かに構ってもらえたり、誰かに気に掛けてもらえていると嬉しいと感じると思います。飼ったことはないですが、猫や犬も飼い主が構ってくれないといじけてしまうと聞きます。
でも、構ってほしいと思うのは、人や猫・犬だけではなく、車だって同じなんじゃないかと思います。車はドライバーの操作に忠実に反応して目的地へと連れて行ってくれたり、あるいは運転そのものを楽しませてくれたりします。
便利なモノとして扱われがちですが、以前、クルマだって自分のことに構ってほしいんだなと思わされる出来事がありました。
愛着のあった初めてのマイカー
以前、国産のコンパクトカーに乗っていました。10年落ち、10万キロ越えのオンボロでしたが、初めてのマイカーであったので、運転することや車を所有していることの喜びは大きく、大変気に入っていました。
仕事終わりは真っすぐ家に帰らず、無駄に遠回りして帰ったり、休みの日にはよく遠出していました。関東から九州まで一般道で走ったこともあります。
車のDIYも素人ながらいろいろとやってみました。オイル交換やブレーキパッド交換、デッドニング、スピーカー交換、バッ直コードの車内への取入れ、地デジチューナーの取り付け、ヘッドライト磨き・ウレタンクリア塗装、HIDバーナー交換など。
失敗することもありましたが、自分で作業することで車への愛着もますます高まっていきました。いつも次は何をいじってみようかなと考えていました。
洗車も頻繁にして、いつも車をきれいにしていました。ヘッドライトを磨いてピカピカにしていたこともあって、きれいですねと言われることもありました。(お世辞かもしれませんが)
所有していた期間は2年弱と短かったですが、この車を通して、車が好きになるには十分でした。
次の車への乗り換えが決まった
非常に気に入っていた車でしたが、乗り換えることになりました。理由はいろいろありますが、
・周りの人達の影響で、走りの良い車へ興味が出てきた
・もう少し車格の大きい車に乗りたかった
・若いうちは一つの車に長く乗るというよりもいろんな車に乗ってみたいという思いがあった
色々と手を掛けていましたが、10年落ち、10万キロ越えの国産コンパクトカーには買取の値段は付くはずもありません。下取りに出すのももったいなく、実家に引き取ってもらうことにしました。
車の故障もハブベアリングの破損以外は大きなものはありませんでした。年末年始に関東から九州への往路の途中でハブベアリングがゴロゴロ鳴り出したのには参りましたが。
乗り換えすることが決まってからは、新たにDIYをすることもなくなりました。愛着がなくなったわけではないのですが、故障もなく、何かいじろうと思うと、多少なりともお金が掛かるのでドライブしたり、洗車したりするだけとなっていました。
乗り換えの1週間前のこと
当時乗っていた車とのお別れは寂しかったのですが、次の車に乗ることのわくわくの方が勝っていました。早く時間が経ってほしいと思いながら日々を過ごしていたと思います。
次期車の納車日が1週間後にせまってきた頃でした。いつものように車に乗り込みました。7月下旬で暑い時期だったので、車に乗ったらエアコンを掛けると同時に、ウインドウを下げて少しでも車内の熱気を外に逃がすようにしていました。
ウインドウを下げようとスイッチを押しても運転席側のウインドウが下がりません。他の席のウインドは下がりました。
どうやら運手席側のパワーウインドウが故障してしまったようでした。走行に支障はなく、廃車にするのであれば、1週間我慢すれば問題ないのですが、実家に引き取ってもらう予定の車だったので、さすがにウインドウの下がらない状態で実家に送るわけにもいきません。
取り合えず、ディーラーで見てもらうと、パワーウインドウモーターの交換という見積もりが出て、費用は部品と工賃込みで16,000円程が掛かることが分かりました。
地味に高いです。1週間しか乗らない車に掛ける費用ではなく、自分で何とかできないかと思い、ドアの内装を外し見てみることにしました。
最後のDIY
しばらく車に対してDIYをしていませんでしたが、久しぶりの、そして最後のDIYをすることになりました。
ドアの内装を外した状態で、パワーウインドウスイッチのカプラーをスイッチに繋いでスイッチを押すと、モーターが動く音と周辺の部品が動くのが見えたため、モーターは故障していないことが分かりました。
よく見ると、
モーター近くにあるワイヤーを巻き取る部品が少し浮いていることに気付きました。スイッチを押すと動こうとするものの、しっかり嵌っていないため回れないようでした。
ちゃんと嵌めなおすと、ウインドウは何事もなかったかのように上げ下げできるようになり、ウインドウが下がらない症状はあっさりと直りました。
壊れていたわけではなく、モーター交換して16,000円払う必要もありませんでした。
構ってほしくてわざと調子悪くなったんじゃないかと思った
次の車への乗り換え1週間前というタイミングでウインドウが下がらなくなる症状。走行に支障はないですが、運転席側なので故障したことにはすぐに気付くし、ウインドウが下がらないのは地味に困るので放っておこうとも思わないです。
実際には壊れていたわけではなく、部品が少しずれていたというだけ。素人がちょこちょこっといじれば直すことができる程度の症状でした。
ふと考えました。この車は自分に構ってほしくてわざと部品をずらしてウインドウが動かないようにしたんじゃないかなと。
調子を悪くする部品やタイミングもしっかり考えていて、走行に影響を及ぼさないが、オーナーがすぐに気付いてくれる運転席のウインドウを動かないようにした。そしてウインドウを下がった状態ではなく、完全に閉まりきっているときに動かなくし、極力オーナーを困らせないようにした。そんな感じがしました。
車をいじらなくなったことや次の車購入に向けて車屋巡りなどもしていたため、薄々、乗り換えてしまうことに勘付いていたのかもしれません。
最後くらいもっと構ってよーということで、パワーウインドウを動かなくしたのかなと思ったのでした。
愛情をかければ車は応えてくれる?
車は表情ひとつ変えずに佇んでいますが、オーナーが愛情をかけると、それに応えてくれるものなのかなと思っています。洗車して車がきれいになると、乗り心地が良くなったと感じることだってあります。アルミテープチューンなどもあるので、もしかしたら科学的根拠などがあるかもしれません。
人との関係と同様に、一方的に要求してばかりいると、上手くいかなくなるかもしれません。車も大切に扱っていきたいものです。