DIYで車やバイクの整備・メンテナンスをしようと思うと工具が必要になります。
工具は種類が非常に豊富ですし、一つ一つの価格が高いので、DIY初心者であればどんな工具を揃えればよいのか迷うのではないでしょうか。
今回は初心者向けに車やバイクの整備用として最初に揃えるのをおすすめする工具類を、実体験をふまえて紹介したいと思います。
DIYで整備するのはおすすめ!
車が故障したり、カスタムで部品を交換したりするときは、ディーラーやショップに依頼するのが一般的だと思います。
ですが、簡単な整備であれば初心者でも対応可能ですし、DIYすることのメリットも多くあります。
DIYで整備をすることの利点として具体的には以下のようなものがあります。
- 費用・待ち時間を抑えられる
- 車の構造が分かる
- 車への満足度が上がる
費用・待ち時間を抑えられる
ディーラーなどに頼むと当然工賃が掛かります。
作業内容にもよりますが、500円程度から~数万円程掛かる場合もあると思います。
交換する部品よりも工賃の方が高いこともありますし、何回も依頼すると大きな費用になってきます。DIYですればその分の費用を浮かせられます。
DIYで整備しようと思うと工具を揃える必要があるので、その分の費用は掛かりますが、購入した工具は繰り返し使えますし、やった作業は自分の技能としても残ることになるので逆にコスパに優れていると言えます。
また、整備の依頼をしても混み具合によっては数週間後の予約になることもありますし、ディーラーへの往復時間+待ち時間で結構な時間を費やすことになります。
オイル交換やタイヤ交換などは、その分の時間を考えるとDIYでやった方が断然はやいこともあります。
車の構造が分かる
「習うより慣れろ」と言われるように知識としてインプットするよりも、DIYで実際に自分で見て・触っての経験をすることで、「こういう風になってるんだ」と車の構造に関して圧倒的に理解しやすいです。
例えば、車の運転も座学や動画等で学ぶよりも、実際に運転してみる方がいろいろと感覚を掴むことができるし、上達も早いと思います。
車への満足度が上がる
修理や部品交換する場合、素人によるDIYよりもディーラーなどに依頼する方が信頼性が高いと思いますが、自分で事前調査をした上で時間を掛けて部品交換すると達成感が大きいですし、「DIYでやったぞ」という満足感を長いこと持っていられます。
また、DIYの数が増えていくほど、上述したように「こういう構造してるんだ」というのが分かりますし、車への愛着も増していきます。
工具の選び方・注意点
必要な工具を単発で揃えていくと高くつく
工具を揃えていくときですが、作業する内容に合わせて必要な工具を逐一揃えていくと、逆に高くつくこともあります。
例えば、オイル交換に14mmのレンチが必要だからホームセンターに行って14mmのレンチを購入するとします。
次に別の作業で17インチのレンチが必要だから別途17mmのレンチを購入する。
というように単発で工具を揃えていくと、単発で売っている工具は有名メーカー品の場合もあるため高くつくことがあります。
なので、ソケットレンチセットやメガネレンチセットなどのセット商品を購入した方が金銭的メリットが大きいです。
また、後でセットものを購入したときに、サイズが被ってしまいどちらか一方を使わなくなるというもったいない状態にもなりかねないです。
また、初心者のころに単発で購入すると独特の形状だったりして後々使わなくなることもあります。
例えばこの17×19のラチェットメガネレンチ。そこそこの値段がしたような気がしますが、短いし分厚いしで使い勝手が悪く、1回使ったきりでその後は一度も使用したことがありません。
高い工具にこだわる必要はない
KTCやTONEなどの有名メーカーの工具の方が精度や耐久性の面で優れていると思いますが、これからDIYをやってみようと考える初心者にとっては価格が高いですし、そこまでヘビーに使うかも分からないので、ハードルが高くなります。
工具を揃えるだけで数万円掛かるとなると、躊躇してしまうのではないでしょうか。
初期投資が大きくなると、DIYするよりお店に頼んだ方が良いのではないかという気持ちになりますし、個人的には安めの工具で必要十分だと感じます。
最初に揃えるのをおすすめできる工具類
多くの種類の工具があることに越したことはないですが、数が増えるほどお金がかかるので、今回は無いと困るくらいの必須工具をピックアップしていきます。
ソケットレンチセット
ソケットレンチセットは、買わない理由がないくらいの必須工具です。
ラチェットハンドルとよく使うサイズのソケットが一通り揃っています。
ラチェットハンドルがあれば、手首を左右に動かすだけでボルトやナットを回すことができます。早回しができるのもポイントです。
回すボルトが多い場合にラチェットハンドルがないと、非常に時間が掛かりますし、動きが多くなるので疲れます。
狭い空間にあるボルトやナットを回すときは、工具を振る十分なスペースがないので、ラチェットハンドルがないと非常に苦労します。
ソケットレンチセットは車のDIY以外にもデスクチェアなどの家具の組み立てなど、活躍の場面が多いので、一つ持っておいて損はない工具です。
角利産業のソケットレンチセットはリーズナブルな価格の割にはしっかりした製品なのでおすすめです。
メガネレンチセット
メガネレンチも非常によく使用するので必須工具です。
奥まった位置にあったり、すごく固かったりするボルト・ナットでなければ多くの場合、メガネレンチで緩める/締めるができます。
ラチェットハンドルを使っても緩めることはできますが、固く締まっているボルトを力を込めて緩めようとすると壊れる可能性があるので、固いボルトを緩めるときはメガネレンチを使用した方がよいです。
また、上述していますが、必要になったサイズを単発で購入していくと結果的に高くつくので、セット製品を購入するのがおすすめです。
片方がメガネレンチで片方がスパナになっているコンビネーションレンチもありますが、スパナはボルトをナメやすく使用頻度はあまり高くないので、両口がメガネレンチのものをおすすめします。
エクステンションバー
エクステンションバーはラチェットハンドルなどに取り付けてソケットを延長させるために使用します。
ボルト・ナットが奥深くにあって届かなかったり、周辺に障害物がありハンドルを回しにくかったりする場合に活躍します。
緩めたいボルトが奥深くにある場合にもソケットのリーチを延長することができます。
このようにエクステンションバーを使うことで、ブレーキキャリパーを避けてラチェットハンドルを回す空間を確保することもできます。
エクステンションバーも活躍の場面が多く、延長できる長さは75mm、150mm、250mmなどのように3通りくらいあると状況によって使い分けできるので便利です。
ディープソケットセット
ディープソケットとは、一般的な(スタンダード)ソケットと比べて全長が長いソケットを指します。
エクステンションバー同様にソケットを延長することになるので、エクステンションバーで代用できるようにも思えますが、ディープソケットでないといけない場面があります。
それは、このようにネジの奥の方にはまっているナットを回す場合です。
普通のソケットではソケットの底にネジがつっかえてしまい、ナットに届きませんが、ディープソケットではソケットの底までの空間に余裕があるのでつっかえることなくナットまで届きます。
ナットから出てるネジが長く、奥まった位置にあってメガネレンチで回せないようなときにディープソケットが活躍します。
このようなナットはよくあるので、ディープソケットも必須アイテムです。
スピンナハンドル
スピンナハンドルはブレーカーバーとも呼ばれますが、ソケットと組み合わせて使用します。
柄が長いので大きなトルクを掛けやすく、固いボルト・ナットを楽に緩めることができます。足回りの整備では必須ともいえるのではないでしょうか。
例えば、ショックアブソーバーを固定しているボルト・ナットは大きなトルクで締まっているので非常に固くメガネレンチではびくともしないですが、スピンナハンドルを使えば楽に緩めることができます。
また、ハンドルを立てて早回しをすることもできるため非常に便利で、一つ持っておいて損はないです。
長い方が大きなトルクを掛けられるので、500mm~の長めのサイズが良いと思います。
トルクレンチ
トルクレンチはボルト/ナットを規定トルクで締めるための工具です。
ボルト/ナットは締め付けが緩いのはもちろんダメですが、きつ過ぎても逆に緩みやすくなるのです。メーカーより指定されたトルクで締め付けるのが一番安全となります。
例えばホイールナットを締めるときも、走行中に緩まないようにと渾身の力で締めたくなりますが、良くありません。かといってユルユルの状態にしておくと脱落の危険性があります。
トルクレンチがあれば、事前に指定のトルクに設定しておくことでそれ以上のトルクが掛からなくなるので、オーバートルクを防げます。また、指定のトルクに達したときに「カチッ」という音が鳴るので、しっかり締付ができたことが分かります。
タイヤ交換時など、例えば5穴のホイールであれば、1台分5×4本で20個のナットを締めることになりますが、全てを自分の感覚で締めるのはリスキーだと思います。
トルクレンチは価格がやや高めですが、ボルト・ナットを締める度に、「このくらいかな」「いや、ちょっと緩いかな」などと考えるよりも、安心を買う意味でもあった方が良いです。
トルクレンチは柄が長くて大きなトルクを掛けやすいですが、基本的に緩める際には使用してはいけないので注意しましょう。
クロスレンチ
クロスレンチとは、名前の通り十字の形をしているレンチで、主にタイヤを脱着時のホイールナットを緩める/締めるときに使います。
両手を使って力を加えることができるので、非常に楽にホイールナットを緩めることができます。
また、ホイールと垂直になっている方の棒を軸にクルクルと早回しできるので、ホイールナットを圧倒的に早く緩める/締めるができます。
車載工具のボックスレンチでもホイールナットを緩める/締めるはできますが、力も必要だし時間も掛かります。例えば、5穴のホイールだと5×4本で20個のナットを緩めることになるので、バカにならない労力となります。
また、ステアリング交換時に中心の非常に固いナットを緩めるときにもクロスレンチは効果的です。
クロスレンチは安いですし、間違いなく買わないと損する工具の一つです。
内張りはがし
内張りはがしは車の内装パネルやクリップをスムーズに外すことができる道具です。
内装パーツを外そうとしたときに、無理に力を入れるとプラスチックが曲がったり、クリップが破損したりしてしまいます。
内張りはがしを使って、テコの原理で浮き上がらせてやれば、傷つけるリスクを減らし楽に外すことができます。
クリップも隙間に内張りはがしを差し込むだけで簡単に外すことができます。
また、内装だけではなく、エンジンアンダーカバー等の外装樹脂パーツにもクリップは使われているので、内張りはがしの出番は意外と多いです。
価格も非常に安いですね。
金属製もありますが、傷をつけにくい樹脂製がおすすめです。
KURE 5-56
KURE 5-56は工具ではないですが、整備の定番アイテムなので紹介します。
KURE 5-56はサビなどで固着しているボルトなどを緩ませることができる潤滑剤です。
固いボルトを緩まないからと力まかせに回そうとすると、ボルトをナメてしまったり、ネジが折れたりする可能性があります。
そういうときにKURE 5-56を吹きかけてしばらく時間をおいておくと緩めやすくなります。
安価なので一つ持っておくと、いつか役立つアイテムです。
↑こちらの「凍結浸透ルブ」はサビで固着したボルト・ナットを凍結して収縮させることで、サビをクラックさせて固着をとくタイプで、錆びたネジやボルトにはかなり有用なようです。
まとめ
車のDIY整備を行う際に最初に揃える工具のおすすめを紹介しました。
車、バイクの整備や部品交換をDIYでしたいけど、工具は何を揃えるべきか分からないという場合に参考にしていただければと思います。
DIYはコストを抑えられること以外にも、達成感が得られることやDIY自体が楽しい一面もありますのでおすすめですよ。
整備内容によっては、車体を持ち上げるためのジャッキが必要になってきますが、ジャッキの選び方やおすすめについては↑こちらの記事に書いているので参考にしてください。