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【レビュー】V37スカイラインハイブリッドを4年乗った感想

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すでに手放してから10か月くらい経っていますが、V37スカイラインハイブリッドに約4年間乗っていました。

忘れないうちに、現在乗っているマツダ CX-60との比較も交えて、最終レビューを書こうと思います。

V型6気筒3,500cc+モーターはとにかく強烈!

V37スカイラインハイブリッドの心臓部に鎮座するのは、V型6気筒3,500ccのVQ35HRと68PS/290N・mのモーター。

全域でパワフルだし、いつでも強力なパワーを引き出せる頼もしさがありました。

スカイラインに乗っていたときは、それが当たり前になってるので、実感しづらかったですが、CX-60のディーゼルに乗り換えた今、V6 3.5Lのガソリンエンジンのパワフルさを改めて感じます。

スカイラインの3.5Lエンジン単体とCX-60の3.3Lディーゼルエンジンのスペック比較。

車種 V37スカイライン CX-60
エンジン 3.5L V6ガソリン 3.3L 直6ディーゼルターボ
最高出力 306ps(225kW)/6800rpm 231ps(170kW)/4000~4200rpm
最大トルク 350N・m/5000rpm 500N・m/1500~3000rpm

馬力は当然ガソリンエンジンの方が高いとして、最大トルクだけで見ると、スカイラインが5000回転で350N・m、CX-60は1500回転で500N・m。

スカイラインはハイブリッドですが、負荷が普通の領域では、エンジンかモーターどちらか単体で駆動することが多い。なので、エンジン単体の動力性能も一応体感できます。

CX-60の500N・mという数値は5,000ccのガソリンエンジンに相当するともいえるトルク。

スペックだけ見ると、回転数が上がらない日常域ではCX-60の方が力強そうです。

でも実際は、発進加速、中間加速、高速域全てスカイラインハイブリッドの方がパワフルで速い。(アクセル全開ではなく、日常的なアクセル開度での評価)

CX-60はディーゼルターボなので、ややもっさりした感じがある。スカイラインは大排気量のNAエンジンらしい。ターボのようなドカンと来るものはないですが、全域で太めのフラットトルクなので、どこからでもレスポンスが良いし、速いんですよね。

今や絶滅危惧種ですが、NAの大排気量エンジンはいいですね。低速からモリモリのトルクで、高回転でも息切れすることなく盛り上がる。

高速域になるとモーターも積極的にアシストするので、言わずもがなですが、相当に速い。

公道で出せるかどうかはさておき、上り勾配で追越車線のトラックが走行車線に戻ったとき。パドルで1、2速下げて、エンジン+モーターによる図太いトルクの80km/h→140km/hのような追い越し加速はかなり爽快です。

そのまま180km/hまで鈍ることないほどの加速性能があります。

ただ、その有り余るパワーを使いきる機会はほとんどないんですよね。4年間のってアクセルを全開にしたことはお試しで数えるくらい。

 

7ATは各ギア間が結構ワイドだったので、もうちょっとクロスしてたらとは思いました。

せっかくの7速をあまり活かせていない気がして。

普通に加速するときは、4~5速で60km/hに到達し、巡行時でも6速以降は高速やバイパスじゃないと入らなかったと思います(CX-60は60km/hでも7速まで入る)。

NAエンジンは回してなんぼなところがありますが、ギア比がワイドで1速で70km/h、2速で110km/h、3速で170km/hくらい出るので、せっかくのV6エンジンも全然回せない。

 

また、スカイラインは純正マフラーでもV6らしい排気音がします。

このようにマフラー近くにマイクをつけて排気音を録音した動画を撮ってみました。

結構なマフラー出口近くに感度の高いマイクを置いているので、社外マフラーみたいな音に聞こえますが、実際はもっと静かだと思います。

 

ステアリングフィール、コーナリング

ステア・バイ・ワイヤによるステアリングフィールは慣れてしまえば全然悪くなかったです。

人工的な反力がしっかりあるので、頼りなさや不安感もなし。

遊びが少なく、ギア比もクイックなので、かなり機敏なハンドリング特性。

タイトなワインディングでもきびきびと動くし、車重1,800lkgを感じさせない身のこなしでした。

ただ、ゆるやかなカーブはクイックであることの弊害か、なんとなくライントレースがびしっと決まらなかった印象。

 

FRなので、コーナリングはやはり気持ちいい。

とにかくボディの剛性感も半端なくて、コーナリング中にアクセルをあえて強めに踏んだときのドライバーを中心軸としてギュッと車体の向きが変わる感じが素晴らしい。

後ろ足で蹴っている感じがすごくて、まさに後輪駆動。

コーナー内側に吸い込まれるようなコーナリングは癖になります。

CX-60もFRですが、スカイラインと比べるとアクセルで向きが変わる感じは薄めかな。

 

ただ、ランフラットタイヤとの相性はあまりよくない気がしました。

サイドウォールが硬いランフラットタイヤは、切り始めの応答性の良さには寄与していましたが、とにかくタイヤが重たくて、交差点の右左折でステアリングを大きく切るときに、ノーズの動きがもさっとしていて好きではなかったですね。

参考:V37スカイラインを脱ランフラットした話【ハンコックVentus S1 evo3へ交換】

 

燃費はそこまで悪くない

スカイラインの燃費測定値グラフ

平均して8後半~10km\lでした。

排気量が3,500ccもあれば普通は燃費極悪ですが、負荷の軽い領域では積極的にモーター走行に切り替わるので、車重1,800kgのハイパワー車としては優秀な燃費ではないかと思います。

近場への買い物など、ちょい乗りがかなり多めでしたが、1回を除いて8km\lは下回りませんでした。

ハイブリッド車はちょい乗りにも強いのがいいですね。

最低燃費は2月にちょい乗りばかりしていたときの、7.17km/L(満タン法測定)。

最高燃費は高速メインで14.66km/l(満タン法測定)。

でも燃料はハイオクで、満タンにすると1万円近くするのはやはりつらかったですね。

ガタピシ鳴らないし、高級感ただよう内装

V37はコストが掛けられているのが分かる高級感のある内装でした。

グローブボックスのフタにも合皮が貼られている

ドアトリムセンターのソフトパッド。
4本の斜めの溝に入れ込んだデザインが上質感、立体感があってお気に入り。

ドアサッシに樹脂製のカバーがついていて、車内からボディの金属が見えないようになっている

インテリジェントペダルという安全装備が採用されていて、前車が近いのに、アクセルを踏み続けているような状況のときに、アクセルペダルをぐっと押し戻す力が発生して、ドライバーに危ないですよと直感的に知らせる機能もありました。

シートベルトは電動による締め付け機能があり、小さい荷物もしっかりとホールドしてくれます。

リアドアのシールも分厚くしっかりしている

2014年登場の車なので、バックカメラの解像度は今どきの新しい車と比べると荒め

CX-60に乗り換えてからの方がより感じるのですが、車内の静粛性も素晴らしかったですね。

外からの遮音性はもちろんのこと、ガタピシ音にも強かったです。

タイヤは薄い(245の40扁平)し、ランフラットで硬く、クッション性では不利だと思いますが、路面の悪い場所でも内装がカタカタ鳴りませんでした。

CX-60も車外からの遮音性は高いと思いますが、路面の荒れたところでは、結構ゴロゴロという音がしますし、車内での反響音のようなものがあります。

 

極低速の速度調整がややしづらいときがある

エンジン駆動でかつ、混んでいる道でノロノロと車列が動くような状況では、やや速度調整がしづらい印象でした。

モーターで駆動しているときは問題ないのですが、充電不足でエンジンが掛かっているときに思うよりも速度がのってしまう感じ。

1速でノロノロ動いているときはまだいいのですが、2速にあがると、スルッと速度がのってしまうんですよね。

ハイブリッド車でアイドリング回転数が高めなのもあってか、2速に上がるとエンジンブレーキでの速度調整が難しく、ブレーキでの減速が必要になる印象でした。

あくまでも極低速でエンジンが掛かっている限定されたシチュエーションでの話です。

通常は回生ブレーキが良く効いてちゃんと減速します。

エンジン掛かっているときのブレーキを離したさいの疑似クリープ(トルコンレスATなので)で結構速度がのるのも、微低速時のコントールのしづらさにつながっていました。

 

小回りの利かなさは地味につらい

スカイラインはFR(後輪駆動)です。

FRといえば、タイヤの切れ角を大きくできて、小回りが利く(最小回転半径が小さい)車種が多いですが、V37スカイライン(2WD)は最小回転半径5.6mと  小回りが利きません。

太くて大径タイヤに狭いホイールハウスなので、仕方ないかもしれませんが、タイヤの切れ角が制限されて少ないのが原因だと思います。

細い路地から左折して出るときは、対向車線にはみ出てしまいがちだし。バック駐車するときや狭い十字路を曲がるときに、ハンドルを切るタイミングを間違えると、曲がっていかないので切り返すはめになります。

タイヤの切れ角がこんなにも取り回しに影響するとは思っていませんでした。

ステアリングギア比がクイック(ロックトゥロック2回転ちょっと)で、ちょっとした曲がりでもすぐにロックにあたるのも小回りの利かなさをより感じる要因かと。

ハンドルをフルに切ったときのタイヤ角度

同じくFRのCX-60はタイヤ切れ角が大きく、かなり小回りが利きます(最小回転半径:5.4m)。

横幅もホイールベースもCX-60の方が大きいですが、取り回しは断然CX-60の方が良いんですよね。

車種 ホイールベース(mm) 最小回転半径(m)
V37スカイライン(2WD) 2850 5.6
G20 3シリーズ(2WD) 2850 5.3
W206 Cクラス(2WD) 2865 5.2
220クラウン(2WD) 2920 5.5

他車FRセダンと比較しても、V37の最小回転半径は大きいです。

V37スカイラインを経験して、最初回転半径を取り回しのしやすさの指標として重視するようになりました。

V37スカイラインは良き

ほどほどのサイズ感で、ラグジュアリー要素もあるスポーツセダン。

セダン不遇の時代に、V6大排気量エンジンの後輪駆動車。かなり希少な存在だと思います。

ステアリングフィールやミッション制御、ブレーキフィールにやや癖はありますが、それらをはるかに上回る魅力がある。

V37スカイラインハイブリッドは所有できて本当に良かった車です。

 

 

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