とりあえず車を楽しむ

スカイラインV37 2000km乗ってのファーストレビュー(取り回し・ステアフィール編)

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V37スカイラインHEVに乗り換えて、約2000km程乗ったのでファーストレビューをします。今回は取り回し・ステアフィールについて。

エクステリア編を書き始めたときは1000km程しか乗っていませんでしたが、執筆が遅く距離が増えて約2000kmとなりました。

 

※個人の主観が入っているので、あくまでも参考程度にお読みください。

 【レビューする車】
スカイラインHEV タイプSP(V37)
2014年式前期型、走行距離 約6万km

※前車はBLレガシィ 2.0GT spec.B 6MT

 

 取り回し性

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BLレガシィから乗り換えるにあたり、大幅に大きくなるボディサイズは懸念材料のひとつでした。全長+165mm、全幅+90mm、ホイールベース+180mmの変化量です。

最初の1週間くらいは狭い道などで気を遣っていましたが、普通に走る分にはボディサイズの拡大量についてはすぐに慣れるので、懸念していたことは杞憂に終わりました。

特に全長が大きくなった分はほとんど気にならず、横幅の大きさは狭い場所でのすれ違いや駐車枠にとめる際に白線の余白が狭くなるので実感しますが、他のシチュエーションではそこまで気になりません。

 

ただ、V37はFRにしては小回りがきかないです。マークXや3シリーズに乗った時はその小回りの良さに驚きましたが、V37はホイールベースが長くなったことの影響もあると思いますが、ハンドルの切れ角が少ないのか、かなり大回りになります。

V37 DAS装備車のステアリングはバリアブルギアレシオのようになっていて、切り増していくにつれてクイックになり、ロックトゥロックは2.2回転程です。

スペースの小さい店舗の駐車場や狭い路地での左折時はすぐにフルロックにあたるものの、全然回っていかないという印象をもちます。

 

BLレガシィの最小回転半径5.4mとV37の5.6mの差はたった0.2mですが、数値から感じる以上にその差は大きいと感じます。

 

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また、V37はAピラー根元とサイドミラーの付け根による死角が大きく、右前の視界が悪いです。この部分は人が簡単に隠れてしまうほどで、特に交差点での右折や峠の右コーナーでの見通しが悪いと感じます。

レガシィもここの部分は同様のつくりだったのですが、V37はピラーが寝ている、ミラー付け根の部分が大きい、サッシュドア車であるためドアバイザーが大きいことから余計にそう感じるのだと思います。

 

また、安全装備として、車体の周囲にセンサーやカメラが装備されています。狭い道を曲がるときにノーズが壁ぎりぎりをなぞるようなときは、警告音でも知らせてくれるのですが、モニターに前方カメラの様子を自動で映してくれます。ノーズの長いセダンにはありがたい装備です。

 

ステアリングフィール

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出典:モーターファン

V37スカイラインの大きな特徴の一つに日産が「ダイレクト アダプティブ ステアリング(DAS)」と呼ぶ、量産車初のステア・バイ・ワイヤが採用されていることが挙げられます。(200GT-tはオプションで装備)

アクセルペダルの踏み込み量とスロットルの開閉量がワイヤーで機械的に繋がっていないスロットル・バイ・ワイヤと同様に、ステアリングホイールの操作とタイヤの動きは機械的に連動していません。

ドライバーのステアリング操作を電気信号に変換して、アクチュエーターを動かし前輪を操舵しています。

 

ステアリングとタイヤが物理的に繋がっていないため、路面やタイヤの状況をステアリングホイールから感じることができず、ゲームのコントローラーのようなものと形容できなくもないです。

ステアリングフィールに違和感があるというレビューも見掛けるので、どうなのだろうという心配がありました。

 

繋がっていないことによるフィール

2000km程走っての感想ですが、前車レガシィの油圧パワステと比較すると、手応えの薄さや軽さはありますが、繋がっていないことによる違和感はないかなという印象です。最近の車の電動パワステは軽いものが多いですし、電動パワステとして見るとこんなものなのじゃないかと思います。

ドライバーのステアリング操作に対しての反応は正確ですし、タイヤの手応えを感じることができないために発生させている反力は、人工的っぽさを感じさせない自然なものであるため、そこまで違和感のないステアリングフィールにはなっているかと思います。

ステアリング特性は設定で切り替えられますが、スタンダードモードの場合、操舵は軽めで速度に応じて重くなっていきます。

 

路面から伝わるインフォーメーションは、ステアリングからは伝わっていないと思いますが、硬めの足回りからくる情報の方が圧倒的に多いので、凸凹やざらつきなどの路面の状況は分かります。

また、全くフィードバックがないわけではなく、デコボコ道やざらついた路面を走ると、ステアリングには普通に振動が伝わってきます。必要な情報としてフィードバックを返してきているのか、ステアリングが宙に浮いているわけではないので、別の部分を経由して伝わってきている振動なのかは不明です。

 

ただ、コーナリング時や左折時などにステアリングに意識を向けると、やはりタイヤのグリップ感やタイヤがどこを向いているのかという情報は分からないと感じます。

特に街乗りなどでの低速時に、前車レガシィと比べてしまうとステアリングの手応えが薄いのは物足りないです。(BLレガシィの油圧パワステは低速時に重め、手応えがはっきりしている)

 

バリアブルギアレシオは好みが分かれそう

また、ステアリングはバリアブルギアレシオ相当のものになっていて、ステアリングを切り増していくについれて少ない舵角でタイヤの向きが変わるようになります。ロックトゥロックは2.2回転程とクイックです。

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写真は左にステアリングを切っている状態ですが、一回転とこのくらいでフルロックにあたります。 

少ないステアリング操作で車の向きが変わるので、良く曲がるかのような錯覚を受けますが、実際にはタイヤの切れ角が増えるわけではなく、これによって小回り性能が向上するわけではないです。

ステアリングを少し切っただけですっと向きが変わるし、右左折時や駐車時にステアリングを回す量が少なくて済むというメリットがあるのだと思いますが、途中まで普通のギア比で、途中から速くなるというのは少し違和感はありますね。

慣れてしまえばどうってことないかもしれません。

 

ステアリングの重さ、クイックさ

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V37はドライブモードをエコ、スタンダード、スポーツ、パーソナルの4つから選択できますが、パーソナルモードの場合、ステアリングの操舵の重さと反応速度を自由に変更できます。

  操舵力 操舵応答
1 しっかり クイック
2 標準 クイック
3 標準 標準
4 軽い おだやか

操舵力、操舵応答の組み合わせは上図の4通りあります。ちなみに、ドライブモードがスタンダードのときは、「標準ー標準」、スポーツモードのときは「しっかりークイック」のセッティングになっています。

実用的なのは「標準ー標準」と「しっかりークイック」の2通りですね。

「標準ー標準」は軽めの操舵ですが、速度に応じて反力が強く(重く)なっていきます。中立付近は曖昧なのですが、切ったときの反応はやや敏感かと思います。

 

「しっかりークイック」では反力が結構強く重めのステアフィールになります。操舵に対しての反応はかなりクイックで、タイトなワインディングではゴーカートのように操作に対して一体感があり機敏に動きます。思いっきりスポーティーに振った設定ですが、標準の設定よりかなり変わり、山道を走ると楽しいので、これは有りだなと感じます。

操舵反力はステアリングを速く動かすのが難しいほどに重めでねっとりしているため、クイック過ぎることでの怖さや不自然さはありません。

高速走行ではステアリングが重いことで、足回りが硬くなり引き締まったように感じるので不思議です。(可変ダンパーではないので、足回りの硬さは変わりません)

 

DASの機械的なステアリングギア比は16.6ですが、最大時には26、最小時には9の間でコントールされているようです。(「新型スカイラインのすべて」による)

ちなみにロックトゥロックはすべてのモードで違いはなく2.2回転程です。

 

電子制御のステアリングということで、バッテリーが故障して電気が止まった時のことが気になりますが、万が一に備えて既存のステアリングシステムは残してあります。

普段は電源をオンにするとクラッチが切り離されステア・バイ・ワイヤ状態になります。もしものときは、電気が通じなくなった時点で機械的にクラッチが繋がる仕組みなので、重ステにはなりますが、安全なようです。

 

ちなみにステアリングを切り増していったときのフルロック状態もアクチュエーターの抗力によって疑似的に再現されたもので、モーターの力を越えるほどの馬鹿力でステアリングを回せば、クラッチが繋がって機械的にロックさせるようです。

 

 

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