ヘッドライトの黄ばみや曇りは磨くことできれいにできますが、磨いた後はヘッドライトをコーティングして紫外線から守ってあげる必要があります。
ヘッドライトに使われるポリカーボネートという樹脂は紫外線に弱いので、コーティングなしでは、すぐに再び黄ばんでしまいます。
ヘッドライトのコーティングには様々な種類がありますが、今回、ヘッドライトのコーティングの一種ともいえる、ウレタンクリア塗装に挑戦したので、作業手順や塗装後の仕上がりについて書きます。
- ヘッドライトをウレタンクリア塗装する目的
- クリア塗装はコーティングとしての耐久性は最強か?
- ウレタンクリア塗装のデメリット
- ヘッドライトのウレタンクリア塗装をやってみる
- ウレタンクリア塗装後の仕上がり
- まとめ
ヘッドライトをウレタンクリア塗装する目的
なぜヘッドライトをウレタンクリアで塗装するかというと、ヘッドライトの劣化防止のコーティングのためです。
ウレタンクリアで塗装するだけでヘッドライトがきれいになるわけではなく、黄ばみや曇りがある状態のヘッドライトを磨かないでそのまま塗装すると、黄ばみや曇りは塗装の下に残ったままになります。
なので、一般的にはヘッドライト磨き→ウレタンクリア塗装という流れになるかと思います。
クリア塗装はコーティングとしての耐久性は最強か?
ヘッドライトのコーティング剤は多くの種類が市販されており、施工方法も簡単なものが多いですが、耐久性がいまいちなものが多く、せっかくヘッドライトをきれいに磨いても短期間でまた黄ばんできてしまいます。
一例として、市販のコーティング剤の中では高耐久なことで知られる、ワコーズの「ハードコート復元キット」を私は使っていました。(割りと高価です)
商品説明には、6~12か月間美観を保持するという記載がありますが、個人的な感覚ではきれいな状態を保てるのは良くても6か月程度という認識でした。5か月目くらいから薄っすらと黄ばみが発生し始め、そろそろ磨き直すことかな、という気持ちになります。
参考:ワコーズ ハードコート復元キットのレビュー 耐久性はどうなのか?
市販のコーティング剤を使っても数か月程度で黄ばみ始めてしまうので、定期的にヘッドライトを磨かないといけなくなります。
しかし、ウレタンクリア塗装をすれば、ヘッドライトを透明の厚く硬い塗膜で覆うことができるので、コーティングとしてかなりの高耐久が期待できます。これがウレタンクリア塗装することの最大のメリットと言えると思います。
塗装が剥がれ落ちない限りは、黄ばみ・曇りとは無縁で、きれいな状態をずっと保てるはずです。
実際、私は前車のヘッドライトをウレタンクリア塗装していましたが、最後に確認した塗装後2年経ったときも透明感を保ち、きれいなままでした。
ウレタンクリア塗装のデメリット
メリットは上述した通り、高耐久ということですが、勿論デメリットも存在します。それは塗装失敗のリスクがあるということです。
ネット記事などでも「塗装にひび割れが出た」や「透明にならず滲んだようになった」などの失敗談をちらほらと見掛けます。
塗装に失敗すると簡単にやり直しがききません。塗装を乾燥させた後に、失敗した塗膜を全て削り落とさなければなりません。
私も前車ではウレタンクリア塗装をしていましたが、今の車では失敗が怖い(+ヘッドライトを取り外すのが面倒だった)ので、ウレタンクリア塗装することなく、これまでは市販のコーティング剤を使ってきていました。
なので、ヘッドライトのウレタンクリア塗装をするときは、失敗する可能性があるということも念頭に置いておく必要があります。
ヘッドライトのウレタンクリア塗装をやってみる
まず、ヘッドライトを車体から外しました。真上から見るとレンズ表面にそこそこ黄ばみがあることが分かると思います。
クリア塗装をする場合、塗装場所が問題となるのですが、私は自宅風呂場ですることにしました。
缶スプレーの塗料は結構周辺に飛散するので、月極駐車場などで隣に車がとまっているような環境の場合は、絶対にヘッドライトを車体から外して別の場所で塗装した方がいいです。そうでないと隣の車に塗装ミストが飛んでしまう可能性があります。
ヘッドライトを磨く
ヘッドライト磨きについてはこちらの記事にも書いています。
今回の場合は、5か月前に一度きれいに磨いてあり、表面にうっすら黄ばみが発生しているだけなので、耐水ペーパー(#1500→#2000→#3000)→コンパウンドという流れで磨きました。
#1500で磨いてヘッドライト表面の黄ばみを落とした状態。磨き傷で白くなっています。
磨くときは縦・横・斜めの一方向に磨きます。円を描くように磨くと、輪っか上の磨き傷が残りやすいのでやらない方がいいです。
#2000で磨きおわった状態。
#3000で磨き終わった状態。まだ白いですね。
#2000より細かい耐水ペーパーはホームセンターにはなかなか置いていないのでネットで購入しました。
この後はコンパウンドを使って磨いていきます。
コンパウンドで磨き終わった状態。一気に透明感が出てきました。(ちなみにヘッドライトが薄い青色に見えるのは、この車のヘッドライトの中のめっき部分?が青く着色されているからです。)
近くで見ると、まだまだ磨き傷は残っていて透明感はいまいちですが、クリア塗装すれば多少の傷は埋まってピカピカになるので、磨き作業はここまでにしました。
ちなみに使用したコンパウンドはこれ。家にあったボディ用のやつです。
補足:クリア塗装する前はどの程度まで磨くべきか?
補足ですが、ヘッドライトのウレタンクリア塗装をする場合、磨き作業をどの程度まで行うかについて、人によって下記2パターンに意見が分かれるようです。
・コンパウンドでヘッドライトが透明になるまで磨いてから塗装する
・塗装の密着をよくするために、磨き作業は800番や1500番など粗いペーパーで終わらせる(塗装前の足付けとして)
※磨き作業を粗いペーパーまでで済ませ、ヘッドライトが磨き傷で真っ白の状態でも、クリア塗装をすれば、傷が埋まり透明でピカピカのヘッドライトになります。
コンパウンドでピカピカにしてからクリア塗装すると、塗料の密着性が悪くなり、時間がたったときに剥がれの原因になるため、下地の足付けは必須だという意見もあるようです。
一方で、クリア塗装すれば傷が埋まってきれいになるからと、磨き傷を残したままクリア塗装すると、一見きれいでも、夜間にライトを点灯したときに磨き傷が透けて見えるという話も聞くので(スプレー缶の塗料が磨き傷に上手く流れ込んでくれないときに起こるんだとか)、私はヘッドライトをコンパウンドが磨いて、ある程度きれいにしてからクリア塗装することにしました。
前車でのクリア塗装時もコンパウンドでピカピカに磨いてから行っていますが、2年経っても塗装剥がれなどはなかったという実績も一応あります。
クリア塗装前の下準備
塗装前に必須なのが、ヘッドライト表面の脱脂です。
食器用の中性洗剤を使って念入りに洗いました。
そして、塗装場所の準備ですが、私は自宅のユニットバスを塗装ブースとしました。ほこりやゴミが少ないし、風が吹かないし、換気扇もついているので、意外にも塗装に都合の良い条件が揃っています。
※風呂場でやるときの注意ですが、十分乾燥させて水気のない状態で塗装します。湿度が高いと失敗の原因です。
塗料が飛び散らないようにマスカーで風呂場を養生していきます。
マスカーは養生シートとマスキングテープが一体化したもので、普通にテープを貼るようにした後にシート部分を広げていくと、
下方向に長い養生シートが出現します。効率よく養生できるのでとても便利です。
マスカーを使って風呂場を養生しました。ここでクリア塗装をしていきます。(今見るともうちょっと上まで覆っても良かったかも・・)
ヘッドライトもレンズ以外に塗料が付着しないように養生。
ウレタンクリア塗装する
クリア塗装前の状態。近くで見ると磨き傷が残っているのが分かります。
ウレタンクリアはホルツのものを使いました。使用方法については缶に記載しているので省きます。
やり始めると後戻りはできないので緊張のひと時ですが、塗装を開始します。
矢印のイメージで缶スプレーを対象物と平行に動かし、塗装していきました。ウレタンクリアは一気にではなく、数回に分けて吹いていきます。
スプレーを動かすスピードは遅すぎず速すぎずで。
塗装一回目。一回目は薄く吹きます。厚塗りは禁物なようです。
薄く吹いているので、すりガラスのようになりますが、回数を重ねていけば透明になっていくので問題ありません。
作業途中で思いましたが、塗装作業にはマスクとゴーグルは必須ですね。換気扇を回しながらといえど、シンナーがすごくてそのままやっていると中毒になってしまいそうで、本能的に危険を感じました。(近づいてブログ用の写真を撮っているときが一番やばかった)
缶スプレーは吹いている最中に温度が下がりますが、温度が下がると塗料の粒子が大きくなり塗装ムラの原因になるらしいので、ホッカイロを貼り付けて温めながら使用しました。
ただ、ホッカイロは想像以上に熱くなる(最高温度60~70℃なんだとか)ので、スプレーしていない乾燥中の時間は絶対外した方がいいです。下手するとスプレー缶の内圧が上がって破裂してしまいます。
10分乾燥させて、塗装2回目。2回目も薄めに吹いたので、ツヤは出ずに滲んだようになっています。
10分乾燥させて、3回目の塗装。今度は厚めに吹きました。スプレー缶の説明書きには20~30cm離してスプレーと書いてありますが、それよりもやや近めで吹きました。
多少滲みが消えてきましたが、まだツヤが足りずクリアにはなっていません。こんなはずじゃないよな、とここで少し焦ってきました。
それから10分乾燥させて4回目の塗装をしましたが、4回目は結構厚塗りでいきました。ここで余裕がなく写真は撮っていないですが、塗装後に細かい気泡が無数に入ったような状態になってしまい、「失敗」の2文字が頭に浮かんできました。「やってしまったか・・」という気持ちになっています。
ただ、時間が経つと気泡が消えて、ツヤが出てきてヘッドライトが透明になってきました。
でも、まだムラになっている部分が残っていたので、厚塗りで5回目も吹くことに。
10分乾燥させて、5回目も厚く吹きました。5回目も吹いた直後は気泡のようなものが発生していたのですが、時間が経つとこのように透明でツヤが出てきました。
塗料がかなり余っているので、もう一回やるか考えましたが、深追いは禁物。ということでここでクリア塗装を終了しました。
ウレタンクリア塗装後の仕上がり
塗装後15時間程経過したときの状態です。乾燥中にひび割れたりすることもなく、透明でツヤが出て、きれいな仕上がりになりました。
表面を爪でコツコツ叩いても問題ないくらいになったので、この後、車両へ取り付け。
夜間にライトを点灯しても磨き傷が透けることはありませんでした。
全体的に見るときれいになりましたが、細かいところを見ると粗もあります。
近くで見ない限り目立ちませんが、ほんの一部分にひび割れが入ったようになっています。(このひび割れは塗装直後からありました)
ゆず肌のようになっている部分もありますが、これは磨けば消せるはずです。
ヘッドライトの端の部分に細かい気泡が混入しています。端の部分までしっかり吹けていないことが原因かもしれません。
撮影時の天気や明るさが違うので単純比較できないかもしれないですが、before, afterの比較写真です。
まとめ
今回、ヘッドライトのウレタンクリア塗装に挑戦しましたが、ツヤがあって透明なヘッドライトにすることができました。
細部を見ると粗がある部分もあり、大成功とまでは言えませんが、かなりきれいになったので十分満足いく仕上がりです。
塗装の耐久性は不明ですが、しばらくはヘッドライトの黄ばみとは無縁でいられそうです。
ヘッドライトのウレタンクリア塗装は失敗のリスクのあるDIYですが、事前にある程度勉強した上で臨めば、失敗のリスクは十分抑えられると感じました。あまりお金の掛からないDIYなのでオススメです。