ジャッキはタイヤ交換やオイル交換等の整備をDIYでおこなうときに、必須ともいえるアイテムです。
ジャッキにはパンタグラフジャッキやフロアジャッキなど様々な種類があります。
先日、アルカンのフロアジャッキをおすすめする記事を書きましたが、個々人の用途や求める性能によって適するジャッキは異なると思います。
なので、ジャッキの種類と用途に合った選び方、加えておすすめのジャッキ7種類を紹介したいと思います。
どういったことに使用するのか?で選ぶ
DIYでどこまでの整備をするかによって、適切なジャッキの種類も変わります。車や用途に合わないジャッキを購入してしまうと、後で買い直すはめになってしまうので、選び方は大事です。
費用節約のためにスタッドレスタイヤ↔ノーマルタイヤの入れ替えを自分でする程度であれば、手頃な価格で購入できるパンタグラフジャッキや小さめのフロアジャッキで良いと思います。
タイヤ交換に加え、オイル交換や足回りの交換等、ジャッキスタンドに掛けて車の下に潜る必要がある作業もする場合は大きめのフロアジャッキが良いと思います。
ジャッキの種類
ジャッキはおおまかに分けると、パンタグラフジャッキとフロアジャッキ(ガレージジャッキ)の2種類があります。
上述の通りですが、個人的には下記のように選ぶと良いと思います。
パンタグラフジャッキ・・・タイヤ交換のみに使用する
フロアジャッキ・・・タイヤ交換以外の整備もする
それぞれのメリット・デメリットについて書きます。
パンタグラフジャッキのメリット
車載ジャッキの多くはこのパンタグラフジャッキです。
比較的手頃な価格で購入できる
フロアジャッキと比べると手頃な価格で、安いものだと2,000円~ほどで販売されています。最近の車だとない場合もありますが、車に標準装備されていることも多いです。
コンパクトであるため、収納性に優れる
自宅or車内のどちらの保管でも、サイズが小さいのでそこまでスペースを圧迫しません。
緊急時用に車に積むならスペースをとらないパンタグラフジャッキが向いていると言えます。
軽量で持ち運び性が良い
油圧式であっても重量10kg未満のものが多く、機械式であればその半分程度まで軽くなります。
フロアジャッキのように、いざ使おうと思ったときに重くて大変ということがありません。
パンタグラフジャッキのデメリット
一輪しか持ち上げられない
2輪同時に持ち上げてタイヤ交換したり、ジャッキスタンドに掛けるといったことができません。できるのは一輪ずつ持ち上げてタイヤ交換など、用途が限られます。
安定性に欠ける
写真を見ると分かると思いますが、接地面積が小さく一直線上で支えているだけなので、横からの力に弱いです。また、高く上げるほどパンタグラフの形状が棒状に近づくので見た目からして安定性が悪そうで怖いです。
フロアジャッキのメリット
2輪同時に持ち上げられる
前輪2輪、もしくは後輪2輪ずつ同時に持ち上げることができます。ジャッキスタンドを使えば、その状態を保持できるので、車の下に潜って作業をできたりと整備の幅が広がります。
安定性がある
フロアジャッキには車輪が4つあり、4点で支えることになるので、パンタグラフジャッキのように横の力に弱くはありません。だからといっても過信は禁物です。
フロアジャッキのデメリット
サイズ、重量が大きい
フロアジャッキは小さいものでも、パンタグラフジャッキと比べるとスペースをとり、また、重量は軽くても10kgほどあります。
携行性が悪く、基本的には自宅やガレージでの保管になるかと思います。
平らで固い地盤で使用しないと危ない
これはパンタグラフジャッキも同じですが、平滑で固い地盤で使用する必要があります。
フロアジャッキは構造上、アームが円を描くように持ち上がっていくので、車の一部分(前輪のみ、サイドのみなど)を持ち上げる際はジャッキ自身が車の下に潜りこむように進みます。
しかし、ジャッキの車輪は小さいので走破性が良くなく、ちょっとした凹凸で動きが止まってしまいます。車輪の動きが止まったままジャッキアップを続けると、ジャッキと車体との接点がずれて車体が落ちる可能性があり危険です。
ジャッキ使用時の注意点
注意点としては、パンタグラフジャッキも、フロアジャッキも車体を持ち上げるための道具であり、持ち上げた状態を支持しておくという役割はありません。
そのため、ジャッキで上げた状態で車の下に潜ったり、頭を突っ込んだりするのは非常に危険です。ちょっとくらいなら大丈夫と高を括ると、ジャッキが地面にめり込んで倒れたり、故障や何かの拍子にリリースバルブを回してしまい、油圧が抜けて下がってきたりする危険性があります。
やってはいけないことNo.1とも言えます。
車体下に潜る必要がある場合は、必ずジャッキスタンドに車を載せましょう。
7種類のジャッキを紹介
最後にパンタグラフジャッキ、フロアジャッキ、+ボトルジャッキの7製品を紹介します。
パンタグラフジャッキ
メルテック パンタグラフジャッキ F-72
重量 | 2.47kg |
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最低位 | 95mm |
最高位 | 350mm |
対応荷重 | 1000kg |
メルテックは大自工業のブランドです。
価格も2,000円未満と安く、コンパクト且つ重量も2.64kgと軽く、車載に向いています。
車載ジャッキが搭載されていない車種や壊れてしまって代替が必要という場合におすすめです。
KTC PJ-1
重量 | 3.5kg |
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最低位 | 115mm |
最高位 | 415mm |
対応荷重 | 1000kg |
少し価格は上がりますが、こちらは信頼のKTCブランドです。
パンタグラフジャッキでもっとも負荷のかかるネジ部分は、転造(ロール成形)による台形ネジを採用して精度・耐久性を高めてあります。
最高位が415mmと高めなのも良いですね。
PJ-1より対応荷重が低くなりますが、同KTCブランドでリーズナブルな価格のPJ-06、PJ-08もあります。
BAL オイルパンタグラフジャッキ 1376
重量 | 6.6kg |
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最低位 | 140mm |
最高位 | 380mm |
対応荷重 | 1000kg |
大橋産業のBALブランドのパンタグラフジャッキです。特徴的なのは油圧式のパンタグラフジャッキ(シザーズジャッキともいう)となっていることです。
機械式のジャッキと違って、重たいハンドルをくるくる回す必要はなく、ハンドルを上下するだけで軽く持ち上げることができます。機械式と比べて重量が6.6kgと少し重いですが、十分車載可能な部類だと思います。
フロアジャッキ
BAL 油圧式フロアジャッキ
重量 | 9.0kg |
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最低位 | 135mm |
最高位 | 385mm |
対応荷重 | 2000kg |
BALのフロアジャッキです。ホームセンターでも売られているのをよく見かける製品です。フロアジャッキとしては安く、軽量、コンパクトであることが魅力的です。
ただ、最高位があまり高くはなく、2輪を同時に持ち上げる際に、車によっては高さが足りずタイヤが浮いてくれない可能性もあります。
個人的にはフロアジャッキを購入するのであれば、以下に紹介する大きめのものが良いと思います。
また、フロアジャッキでサイドを持ち上げるときはジャッキアダプターを装着するようにしましょう。そのまま持ち上げると、接点が少なくて安定しないですし、サイドのジャッキポイントが曲がってしまう可能性があります。(錆の原因にもなる)
ARCAN フロアジャッキ HJ3000JP
重量 | 26.4kg |
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最低位 | 101.6mm |
最高位 | 470mm |
対応荷重 | 2721kg |
アメリカのPower Station社のARCANブランドのフロアジャッキです。この手の大きいフロアジャッキは重量が大きくなりがちですが、本体材質をスチールとアルミのハイブリッドとしたことで、26.4kgという重量に抑えられています。
デュアルピストンや1147mmの長尺ハンドルにより軽い力で持ち上げることができます。
アルカンの HJ3000JPは前回の記事でも紹介しましたが、価格・重量・性能のバランスが非常に良く、個人的におすすめのフロアジャッキです。
アルカン 低床フロアジャッキ XL325R
重量 | 47kg |
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最低位 | 89mm |
最高位 | 542mm |
対応荷重 | 2948kg |
同じくアルカンのフロアジャッキです。最低位が89mmと低く、ローダウン車にも対応しています。
最高位は542mmと、上記紹介のHJ3000JPと比較すると70mm近く高く上げられ、ハンドルも1440mmとかなりの長さがあります。
ただ、重量は47kgもあり、これを持って運ぶのはかなり厳しそうです。完全にガレージ保管用のタイプだと思われます。
番外編
アストロプロダクツ ボトルジャッキ
重量 | 4.2kg |
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最低位 | 197mm |
最高位 | 393mm |
対応荷重 | 5000kg |
ボトルジャッキ(だるまジャッキとも呼ばれる)はコンパクトで対応荷重が高く魅力的ですが、これを選ぶ際は注意が必要です。
ボトルジャッキは一番低い状態でもそこそこの高さがあるので、一般的な地上高の車だと、そもそもジャッキポイントにセットできない可能性があります。なので、自分の車に使えるかどうか分からないのであれば、やめた方が無難かと思います。
トラック等に使用されることが多いようです。